News 021〜030


NEWS_021: ホームページバブル

(記:1999.10.03)

 1995年頃から爆発的に増え続けてきた日本人(個人)の作成するホームページ数が、2001年以降、激減し始めたという報告がある。これは、雑誌やパソコンメーカーの「ホームページを作ろう」というキャッチコピーに躍らされたユーザーがホームページを作ってみたものの、アクセスしてくる人がほとんどおらず、「情報を世界に発信する」といったフレーズが全くの見当違いである事に気付いたことと、近年の日本人の特質である「飽きやすさ」によって放り出された結果であり、ここにきてホームページのバブルがはじけたのだとみられている。

 ホームページの維持には予想外に手間がかかることもあり、ページ更新のため生活のリズムを狂わされた人も多い。また、初期の頃からのホームページ作者は制作し始めてから5〜6年経過していることもあって、本人の生活環境が変わり更新がままならなくなったという例が出始めていると考えられる。
 そうしたページの多くは放置されたままとなり、ページ自体は存続しているが実質的に機能していないものが増えている。

 このような個人ページの動向と歩調を合わせるように企業のページも減少傾向にある。特に商用ページのうちWebで勝負にならないと判断されたページは次々と閉じられWebから撤退してしまった。その結果、Webには有名なサイトしか残らず全体的にマンネリ化してきたこともあって利用者離れを招いている。

 郵政省はこうした事態を重く見、
「飽きやすい日本人にしてはこのブームは長く持った方だ。だがその有用性を考慮するとこれはブームで終わらせてはならない」
と、特にホームページ制作者のWeb離れを防ぐため、一定基準を満たすサイトに対しては報奨金制度を設けて促進・活性化したいという考えを示した。(ただし、対象となるのは、個人・成人以上に限られる)

 これに対し、現在も活動を続けているWebMaste達からは
「今まで何もして来なかったくせに今更何を言っている」
「金でネットが思い通りになると思っているのか」
「WebMasterの匿名性が失われて自由なページ作りができなくなる」
「役所が口出しすべき問題ではない」
など早くも反発の声が上がっている。

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NEWS_022: AV機器反デジタル化気運高まる

(記:1999.11.09)

 近年、オーディオ・ビジュアル機器にもデジタル化の波が押し寄せてきたが、その普及に伴い様々な問題点が浮上してきた。

1.切り捨てられた領域の重要性
 音楽の媒体がほぼ全てLPからCDに置き換わった頃から、デジタル化の際に切り捨てられた高低音域が実は音として重要な役割を果たしていたという事実が次々と判明してきた。もちろん音質の低下について割り切っている人も多いが、その一方で幼い頃からデジタルの音ばかり聴かされてきた世代の、音の認識能力が低下してきたという調査結果も出されている。
 現状では能力低下が音の分野のみに限られているが、映像のデジタル化の進む現在において、デジタル化で切り捨てられてしまう高周波成分の重要性と、その欠如が人に与える影響について、無視できないものがあるのではないかという意見も増え始めている。

2.デジタルコンテンツの復元失敗問題
 枯れた技術で作られているアナログの機器と違い、間に合わせの感の強いデジタル機器にはバグが数多く含まれている。CSでは既にデジタル放送が行なわれているが、エンコード不良の画像も放送されているのが現状である。さらに、家庭内機器でデコードする際に画像や音声が乱れる場合があり、ひどい場合には映像・音声ともに止まってしまう事もあって消費者の不満も高まりつつある。

3.操作性の悪化
 デジタル化で機器の反応が鈍くなり、ボタン操作した後切り替わるまで一呼吸待たされる機器が増えているため、機器の不具合だけでなく操作性の面でもいらいらする事が多いというのが消費者の大きな不満の一つでもある。ただ、こうした不満については操作性と気分だけの問題ではないことが最新の研究で明らかにされつつある。
 人がアナログ機器を操作する際には、一連の操作の中に1/fゆらぎを誘うような動きを自分自身が組み込んでおり、自分の作り出したその動きから満足感を得ていたことが判明しているが、デジタル機器の場合には操作に対する機器の応答遅れなど、このゆらぎを強制中断する要因が数多く見られ、これがいらいらを増幅する原因となっているとみられているようである。

 こうした状況のもと、現在、AV機器デジタル化反対の気運が静かに高まりつつある。

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NEWS_023: 新推進法の船舶、沈没

(記:1999.11.23)

 一ヶ月前に新推進法の船舶が三陸沖で沈没した事件で(乗組員は全員死亡が確認された)、事故調査委員会は泡の異常発生が原因で沈没した可能性が高いという中間報告をまとめた。

 この船は、船首から水中に泡を放出して水と船体との抵抗を減らす手法を取り入れており小さな推進動力でも航行可能になるという、画期的な先端技術船であった。
 事故究明報告によると、船体に亀裂がほとんど無いことから他の船舶による当て逃げでないことは明白であるとしている。さらに、船内から回収された船体操作マニュアルには「発泡制御手順の省略」という項目が付け加えられていることが判明しており、調査委員会が同様の手順で実験を行なった結果、ある一定の条件が揃うと泡が異常発生して一次貯蔵容器が破裂する状態にまで圧力が高まることが分かった。
 この実験と同様の事態が沈没した船舶内でも起こっていたとみられており、作業員が容器の爆発を防ぐために泡を船外(海中)に放出した結果、船体が浮力を失って一気に沈没したのではないかという説が有力になっている。

 自然現象による沈没事故例としては、太古に海底に形成された固体メタン層(メタンハイドレード)が何らかのきっかけで融け、泡が大量発生して海面に浮かび上がり(ブローアウト現象)、その周辺を航行していた船が大量の泡によって浮力を失って沈没したとされるケースがあるが、今回の事故はこれと同様の原理によって起こったと見られている。

この新しい推進法は1999年に原型ができ2002年に実験船が完成、その後約10年間の検証で推進法として問題は無いとされていた。
 なお、作業員は泡を放出し過ぎると船体が浮力を無くし、航行に支障が出ることを知らなかったと見られている。


ホラ猫B談:
 東海村の臨界事故風にまとめてみました。日本人(自分も含めて)のスキルが極端に低下している今となっては、マニュアルをガチガチに固めておいてそれを逸脱しないようにしておかないと、訳の分からないままに無茶な事をする人がどんどん出てくるようになるだろう…と思ったりします。

リンク(参照):
バミューダトライアングルの怪物 特命リサーチ200X

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NEWS_024: 日本、最重要警戒国に指定される

(記:2000.03.04)

 国ぐるみで人を堕落させる製品を生産し輸出することにより、相手国の若い世代の教育を意図的に妨害しているとしているとして、麦国は日本を最重要警戒国(*1)に指定した。

 最近になって家庭用ゲーム機やたまごっち、ジャパニメーション、ポケットモンスター、デジタルペットなど、子供を夢中にさせてしまう製品を日本が次々生み出しているが、これには相手国へ送り込むことで若年世代の教育を阻害し、そうした世代が成人する頃にその国の経済力・生産力を弱体化する効果があるとしており、麦国は「これは若年世代攻撃兵器と呼ぶべきものであり、わが国は攻撃を受け既に被害も出始めている」という見解を示している。

 こうした声明に対して、日本政府は「いいがかりも甚だしい。これまで麦国は何かにつけわが国の各業界に対し因縁をつけてきたが、今回の発言は一業界に留まらずわが国全体を愚弄(ぐろう)するものだ。公の場でこの発言について謝罪しない限り、経済報復措置などそれなりの対抗措置をとらせてもらう」と珍しく強硬な姿勢をとっている。

(某新聞社による注釈)
 ただ、無機物やプログラムであるにもかかわらず意図的にユーザーの感情を動かしてしまう(たまごっち、ポストペット、どこでもいっしょ、AIBOなど)、いわば心に働きかける環境ホルモンとでも言うべき製品が数多く生産されているのは事実であり、これが生物としての人間(特に子供)の生育に悪影響を及ぼしているという研究結果もあるという(*2)。


(*1)こんな指定が本当にあるかどうか、わたしゃ知りません(^^;
(*2)これもホラです。ひょっとすると本当に研究されているかもしれませんが…。

ホラ猫B談:
 たまごっちが流行した頃、東南アジアのどこかの国がたまごっちの輸入を禁止した、と報道されたような気がします。確か子供たちの学力低下を招くため、という理由だったような…(うろ覚えなもので真実かどうかは定かではありません)。それをベースにして書いてみました(今日はプレステ2の発売日でもあるし)。しかし…米国なら本当に上記のようないちゃもんつけてきそうな気もしますなぁ。


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NEWS_025: 鳥類撃退器具

(記:2000.04.01)

 近年、各地の都市部でカラスやハトの個体数が異常増加している。特に東京ではカラスが大発生しており、ゴミ置き場やベランダなどでは生ゴミの散乱や糞害が発生するなど、美観を損ねるだけでなく衛生面でも問題になりつつある。
 こうした状況の中、東京都は誰でも簡単に作ることのできるカラス・ハト追い払い機というべき器具の作り方を公表し、自宅やゴミ置き場付近に設置するよう呼びかけている。

 これは工作と言うほどでもない実に簡単なもので、直径3cmほどのドーナツ型の磁石(黒板に張付けるようなもの)の真中の穴に透明な釣り糸を通して結んだだけというもの。これを風が吹けば適度にゆれて磁石がくるくる回る(磁場が変動する)ように、物干し竿や棒、木の枝などに釣り糸でつるすだけでよい。

 カラスは光るものが好きだが、ワナにみせかけると寄りつかないという習性がある。昔からよく知られているように、カラスはスプーンや指輪など光るものを巣にしまい込む。その一方で、釣り糸のようにキラキラ光るが、方向によっては見えたり見えなかったりするものには警戒心を抱いて近寄ろうとしない。
 また、ハトは磁力によって方向を知るため磁場の乱れる場所を避けようとする。その実例として、ここ数年伝書鳩レースで巣に帰還できない個体が急増しているという現象が起きており、原因はPHS中継アンテナの発する交流磁場にあるとされている。

 こうした事例にヒントを得て、上記のような一石二鳥とでも呼ぶべき器具が考案された。東京都というグローバルな地域でも十分に効果を発揮するかどうか、今、検証されようとしている。


ホラ猫B談:
 うちのベランダには鳥が良く来て時々糞を落としていくので、ダメでもともと、と上記のような工作をして実際に物干し竿につるしてみました。すると不思議なことにそれ以降、本当に鳥が寄り付かなくなりました。
 この磁石が効果を発揮したのか、ただ単に変な物がぶら下がっていたので警戒しているだけなのかよく分かりませんが、とりあえず鳥を追い払うという目的は達成できたという事で、めでたしといったところでしょう。当方では効果の保証はしませんが、ご参考までに。

 鳥を寄せ付けないといえば、2,3ヶ月くらい前に確かTBSの「どうぶつ奇想天外」で、ごみ捨て場にカラスを寄り付かせない「かかし」のようなものを作っていました。ハンガーと黒のTシャツと輪ゴムと丸く切ったアルミホイルだけで出来るという…これって結構効き目があるらしいです。こうした情報こそWEBに載せていけばいいと思うのに、「どうぶつ…」の番組ってホームページ持ってないんですよね。


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NEWS_026: 低音アラーム研究会発足

(記:2000.05.01)

 家電製品などが発するアラーム音はこれまで高い音域に設定されているものが多かったが、高齢化社会を迎えるにつれ、老人は耳の機能が低下するためこうしたアラーム音が聞き取りにくくなる場合がある、という事実が一般に知られるようになってきた。

 これまでにも音が聞き取りづらいという苦情は各メーカーに寄せられていたものの、まともに対処する所はほとんどなく「音が聞こえにくいのは個人の聴覚に問題があるため」としてそうした音に関するクレームは事実上黙殺されてきた。
 しかし老人が増加し続ける現在、聞き取りづらいと感じる人が多い「高音」が果たして通知音・警戒音としてふさわしいのか疑問視され始めている。一方で、そうした事例を知りながらこれまで何の対策もとらずにいたメーカーに対し、その製造責任を問う動きも出始めた。こうした状況のもと、実用的なアラーム音を規定化するため、複数のメーカーが今回の研究会を発足させた。

 なお、この研究会では適用範囲を家電製品だけに留めず、近い将来一般に電気自動車が普及した際の警戒音なども考慮に入れて規格化を進めていくとしている。

 電気自動車は燃料系エンジンを積んだ自動車と比較してあまりにも静かであるため、これまでと異なり歩行者等が自動車の接近に気付くことなく事故に遭うケースが激増すると予想されている。
 事故防止のためには、車の接近を知らせるため人工的に警戒音を作り出し報知する必要があるが、走行中に発するべき音としてはどの領域の音程・音量が最適であるか、音波の指向性などをどう考慮するか、など考えるべき点は多い。歩行者にとって聞き取りづらい音では接近を知らせる警戒音としては役に立たないし、不快な音を常に発するようでは購入者と一般人の反感を買うことにもなりかねないため、早急に基準範囲を定める必要があるとされている。

 このように将来を見据えたアラーム規格制定の研究会が発足し、現在、活発な議論が交わされている。


ホラ猫B談:
 うちのお袋は、タイマーのブザー音など高音の領域がほとんど聞き取れないようです。電話が鳴っているのが分からない事も多いようで…。これが歳のせいなのか何らかの障碍なのかよく分かりませんが、まぁ高齢のせいだろうという事にしてこのホラを組み立ててみました(つまり今回は根拠がほとんど無いに等しい)。


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NEWS_027: 日本、麦国を最重要警戒国に指定

=>参照:NEWS_024

(記:2000.05.07)

 国ぐるみで人の健康を害する食品を提供することにより、相手国の若い世代の健康を意図的に侵しているとしているとして、日本は麦国を最重要警戒国(*1)に指定した。

 数十年前にハンバーガーのチェーン店が上陸開店しそれ以降ファーストフードが定着しているが、この偏った栄養食品が生活習慣病の原因の一つだと言われている。(*2)
 特に最近は「平日は半額」というキャンペーンで販売量を増加させ、若者に脂肪を標準量以上摂取させる試みも順調に進んでおり、栄養バランスを崩すことで体の動きや頭の働きの鈍い人物を大量に作り出すのに成功しつつあるという。

 こうした声明に対して、麦国政府は「この発言は許し難い。我が国の食文化を完全否定するものだ」と強く反発している。


(*1)こんな指定が本当にあるかどうか、わたしゃ知りません(^^;
(*2)こりゃ偏見ですな。ひょっとすると本当の事なのかもしれないが。

ホラ猫B談:
 ファーストフードの油っこさ(特におまけのポテト)には昔から閉口しており(そんなら食うなよ、と一人突っ込み)、ここまで油っこいものを食わせ続けるのには何か訳があるのかもしれない、とNEWS_024に引っかけて強引に書いてみました。いちゃもんはどうにでも付けられる…と。今回は内容的には深く考えてません。


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NEWS_028: 欠番 (自作派商品開発支援ウェブ)

(記:2000.06.12)

 メーカーの作る商品に物足りなさを感じる人が増えており自作気運が高まる中、こうした自作のアイディアを支援し製品化しようというウェブサイトが誕生し人気を呼んでいる。

 数年前に自分だけの腕時計を作ることができるというサービスがもてはやされた時期もあったが、自由に変更できるのは時計盤のグラフィックだけで、時計のフレーム枠やバンドなど素材やデザインは限られたものから選択するしかなく、オリジナルと呼べなくはないが…という程度のものであった。



 ここまで書きかけてもっと内容を煮詰めていこうとしていた時に、次のようなサイトを見つけてしまいました。

 たのみこむ

 このサイトでは、少々方向性は違うものの私の考えていた事をほぼ実現しています。で、実在するサイトの事をこれ以上書いても仕方ないと判断しましたので、今回の分は途中で筆を置き欠番といたします。ちょっと悔しいですが。

 あ、ちなみに何でこんな題目を思いついたかと言えば、私自身の欲望からです。オリジナルの壁掛け時計(しかも24時間時計)が作りたい…ただ、いくらWebを探し回っても(いろんな所にもメールで問い合わせてみましたが)そんなサービスが見つからない…でも、どうにか実現したい。その手段を探っているうちに、こんな要望の支援をするサイトができてもいいだろうと思いついて…。
 まぁその個人的欲望自体は、何とか叶えるメドがついたんですが。

 というのも、どうしても見つけられなかった24時間壁掛け時計の情報をつい先日メールマガジン某Watch(2000.05.30号)のあるコーナーで入手して、つい先日24時間時計の実物も無事購入することができたんです。オリジナルの文字盤についても、どうにか自分で作れそうなメドが立ったので(ある意味、渋〜いものになる予定。笑う人と呆れる人と関心を持ってくれる人が30/50/20というところか。)…まぁ何とか一ヶ月くらいでそれなりの形に仕上げたいと思ってます。
 もしど〜しても出来栄えを知りたいなんて要望メールがあれば画像をUPしてもいいですが…(^^;

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NEWS_029: 長期保存用記録媒体

(記:2000.06.12)

 PCや各種制御機器の普及が進んだ今、機械類の操作やデータ処理など便利になった点も多いが、デジタル機器の最も基礎の部分であるデータ保存という点(特に媒体)は常にないがしろにされてきた。特に、最近浮上してきた大きな問題点は次の2点となっている。

1)保存状態と寿命
 15〜20年前に主流だった8インチ、5インチフロッピーディスクは、媒体にカビが生えたり磁気が劣化するなど保存方法によってはデータが読み出せなくなるものが続出している。さらに、大容量保存媒体として重宝されてきたテープも、伸びやすいという特性もあってリードエラーを頻繁に起こすようになっている。
 また、現在、デジタル機器における記録媒体の主流となっているハードディスクは、駆動機構を内部に抱え込んでいることもあってその寿命も数年〜十数年と短い。

2)媒質の種類の変化
 記録用のデバイスは、新しい種類の記録機器が開発・発売される度に次々とその姿を変えてしまう。そのため、数世代前の記録媒体から情報を引き出そうとしても、読み出せる機器自体がほとんど存在しないという状況にある。

 以上のように目先の便利さ・手軽さを優先するあまり、どのメーカーも長期保存という視点では深い考えを持っておらず、結果的に長期保存用途に向かない媒体ばかりが生み出されてきた、というのが現状である。
 こうした不安定なデバイスの上でもとりあえずデータの保存・読み出しはできるため、一般の仕事・教育にも当然のごとく用いられてきた。しかし、ひとたびこの媒体が読めなくなるとその時点で一連の作業は中断し、最悪の場合にはそれまでの全ての作業が(何日、何ヶ月、何年かかっていようが一瞬で)無に帰してしまう。そして、こうした事故は現に世界中で毎日何千件も発生している。

 この状況はまさしく「砂上の楼閣」である
…と憂慮した複数のメーカーは、数千年単位での情報保存を可能とする安定した媒体の製造・普及を目的とし、その手法の開発・媒体製造手段等を模索するため長期保存用記録媒体研究会を発足させた。

 この研究会では、次の条件を満たす媒体を開発することを指針として挙げている。
1)長期(一千年)にわたり、過酷な条件下であっても情報が失われないこと。物理的変化・化学的変化を伴って、情報が安定な形に固定される方式でなければならない。

2)情報読み取りの機器が容易に製作できること。書き込みの精密さには特に制限を設けないが、書き込まれた情報の内容は人がその五感(視覚を想定)で確認できるように工夫されなければならない。

 この指針は、現在主流となっている媒体が数年単位の使い捨て媒体に過ぎず、その磁気記録方式が実に危うい手法であるという事実に目をつぶり続けてきた点を、反省した上で立てられたものである。
 さらに、媒体が多少破損した場合であっても正常な部分から情報が読み取れるのは当然として、破損部分は周囲の破損状況などの情報からある程度復元できるような性質を媒体に持たせる、という項目も盛り込まれている(これはソフト的な問題も含めてある)。



 研究会発足後15年、上記の条件を満たす次世代記録媒体が幾つも開発されてきた。その一つにフラクタル織込み構造方式有機炭素結晶シートというものがあり、現状ではこれが研究会の指針に一番近く最も有望な媒体であると見られている。この特徴は以下の通り。

1)シート表面には直接手書きできる。
2)専用の書き込み機器を使ってシート内部の記憶領域に書き込み可能。
3)特殊読み取り光源により、データ内容の視認が可能。
4)一定領域ごとに切り取り可能(領域はごく微細であるため、ほとんど自由に切り取り可)。

 シート表面には有機炭素結晶が格子状に整然と並べられており、ペン状のデバイスでシート上をなぞる等のアクションを起こすとその部分の結晶が変成して、紙に鉛筆で書くのと同じ様に目に見える形で情報が記録されてゆく。ペンデバイスで書き損じた場合には結晶を元の状態に変成し直す特殊ライトペンを使い、消しゴムで消すような感覚で書き込んだ情報を消去していくことができる。
 また、シート表面の結晶格子ブロックの隙間には目に見えない微細なしわが刻み込まれており、そのしわの内部にはフラクタル状に織り込むことによって記憶面積をシート表面の数万倍に高めた記録領域が存在する。シートを専用の焼き込み装置(シートメモリプリンタ)に通すと、内部の記憶面に直接情報を書き込むことができる。

 なお、しわ内部に書き込まれた情報は、ある特殊な光源を照射することでシート表面に浮かび上がらせることができるようになっている。一定の光の波長ごとに結晶体内での光路が限定されるため、照射する光の組み合わせ方によって違う領域の情報がシート表面に浮き出る仕組みとなっており、データが直接視認できるという点では満足できるものになっている。

 ただ、現段階では製造コストの高さや結晶体の微妙なひずみ問題、結晶変成に要する時間の長さ(書き込みレスポンスの悪さ)など課題も多く残されており、研究会では他の方式も含めて主流となり得る記録媒体について詳しく検討しさらに開発を進めていくことにしている。


ホラ猫B談:
 これだけデジタル化された現代においても、最も信頼されよく使われている記録媒体といえば「紙」というのが現状でしょう。しかし、人類はそろそろ紙に代わる次の安定した記録媒体(冗談抜きで情報を1万年以上保持し、随時読み出せるような媒体)を生み出さなければならないだろう、と私は常々考えています。もちろん、製紙による環境破壊への対策、という視点も含めてですが。
 しかし…こんな事を考えるのって私くらいなものでしょうか?今は上のような思い付きをつらつらと書き連ねることぐらいしか私にはできませんが…メーカーなどでは紙に代わるものを発明するなんて動きは起こってないんでしょうかねぇ?

 今回は勢いに任せて、実に無茶苦茶な構想を熱い思いと共に長々と書き込んでしまいました(まぁ更新休止前だし(^^; )。それにしても…いつの日か「研究会発足」または「製品化」というような形でこの思いが満たされる日は来るでしょうか?


ホラ猫B談(追記2000.07.29):
 7月23日のTV番組「特命リサーチ200X」で、デジタル記録したデータが読めなくなるという内容の放送がありました。中で述べられているテーマは今回のホラと同じようなものでした。皆、同じように将来を考え、憂慮しているんだな…。それにしても、CDが20年程度しかもたないというのはちょっとショックでしたね。自分が生きている間くらいは使い続けられると思っていたのに…。

リンク(参照):
特命リサーチ200X


ホラ猫B談(追記2002.02.21):
 改めて読み直すと「長期(数十、数百年)情報保存は当然、書き換えもできなければならない」と、2つの課題をごっちゃにしたまま勢いで書き上げたという気がします。
「情報を長期間保存するわけではないが、書き換えができる紙」という視点だけで考えると、今(2002.2)ホットな話題となっている電子ペーパーがその役割を担っていくことになりそうです。先日PAGE2002という展示会で話を聞いてきました。手触り(これ結構大切なんだそうだ)、解像度(新聞の置き換えができれば資源節約にもなるが、まだまだ解像度が足りない)、情報保持性、カラー化など問題は山積しているようですが、2005年頃にはこうした電子ペーパーが発売され、一部分野で紙の代わりを務めるようになるかもしれません。

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NEWS_030: 「binbou-yusuri」が英辞書に登録

=>参照:NEWS_017 人体発電装置

(記:2000.11.26)

 英語の辞書に「binbou-yusuri」(貧乏ゆすり)という単語が掲載されることになった。これは、貧乏ゆすりという行為とその言葉が国際的に認知された結果であるが、これに該当する言葉が英語圏に無かったことを考えると、この数年でいかに急速にこの行為と言葉が世界中に浸透していったかが分かる。

 この言葉の爆発的普及は、約10年前に報告された飛行機搭乗後の死亡事例に端を発する。

 飛行機を利用する客が長時間の搭乗後、心臓血栓により死亡するという事例が多数報告されるようになり(それ以前にも同様の事例はあったとみられるが、飛行機搭乗に関連すると考えられていなかったため報告例は無い)、これらの病例を詳細に分析した結果、死亡者の多くは長時間の血行不良による血栓の発生が原因で症状が発生したと断定された。
 飛行機のエコノミークラスの席はとても狭くて足がほとんど動かせない。そのため足が血行不良に陥り毛細血管内に血栓ができやすくなる。この血栓が飛行機を降りた後に足の毛細血管から血管を通じて体の各部へ運ばれ、場合によっては心臓の血管を詰まらせ、障害を引き起こすことになるという。

 航空会社側はこの報告に基づいて席間を広くし足を動かせるようにするなどの対策を取ったが、その後もやや数が減ったとはいえ同様の病例が報告されており、決定的な対処方法が求められていた。
 ここで航空会社は、手軽で効果のある足の運動方法の1つとして「貧乏ゆすり」に注目し、長期フライト便に搭乗する客にはその運動を行うよう指導したのである。
 当初は、行儀が悪いという声も出て一部で不評を買っていたが、その運動効果が科学的に解明されると各国に爆発的に広まっていき、現在ではほぼ世界的に認知されたと言ってもよい状況にある。
(なお、貧乏ゆすりの普及後、長期飛行後の血栓病例は報告されていない。)

 こうした現状をふまえ、米国で辞書を発行している数社が「binbou-yusuri」を単語として採用することにしたと発表したものである。

 この発表について、日本貧乏ゆすり友の会のA氏は記者会見を開き、

「つい最近まで作法などの面から貧乏ゆすりの悪い所ばかりが強調されてきたが、この数年で健康に良いことが実証された上、一つの言葉として英語圏でも認知された。大変すばらしい事です」

とコメントを発したが、話している間中、彼の足が止まることはなかった。


ホラ猫B談:
 「死亡原因は長時間足を動かすことができず血栓ができたため。」この理由を聞いたとたん、ぱっとひらめいたのが「貧乏ゆすりで対処できるんじゃないか?」という下らない考えでした。同時に、こんな癖や言葉は日本以外にあるのだろうか…と色々な考えが交錯し始め、ちょうど気分が乗っていたこともあって、これならホラとしても成立しそうだし面白いかもと思って書き上げてみました。

<注意>
・死亡原因は確か血栓が原因だったはずですが、具体的病例は心臓血栓だったかよく覚えていません。その辺りは深く追求しないよ〜に。
・外国で実際に貧乏ゆすりという行為と言葉が存在するか、という点については調査していませんので悪しからず。

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